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2022.08.30

歯周病と認知症の関係

アルツハイマーのイラスト

 

こんにちは!

今回は歯周病と認知症の関係についてお話ししていきます。

 

アルツハイマー型認知症は、記憶障害を中心とした認知症で、

老年期に発症し緩徐に進行していきます。

 

《歯周病と認知症の関係》

①歯周組織が原因の炎症による関与

アルツハイマー型認知症患者の脳内では炎症性の物質が増加していることなどから、

脳内での炎症反応の亢進がアルツハイマー型認知症において重要であると考えられています。

歯周病になると、炎症反応の過程で生じるたんぱく質が血液を通じて全身にまわり、

脳内に入り込むと、最終的に神経細胞が徐々に死んでいくことに深く関与します。

 

②歯周病菌の関与

歯周病菌の中でも病原性の高い菌をPg菌と言います。

この菌は、歯周病を悪化させるように周囲の菌に働きかけるだけでなく、

歯周病菌の中でも特に強力なたんぱく質分解酵素(ジンジパイン)を持っています。

歯周病が進行してひどい炎症を起こすと、その傷口から菌が体内に入り込みます。

脳内に入り込んだPg菌は、たんぱく質分解酵素で神経細胞を破壊し、

アルツハイマー型認知症を進行させている可能性があると言われています。

また、アルツハイマー型認知症で亡くなった患者の脳内ではPg菌が高頻度に検出されましたが、

正常な人の脳組織からは検出されなかったという研究結果もあります。

 

 

《認知症の危険因子》

認知症の危険因子として、加齢、遺伝的要素、血管性要素(高血圧・糖尿病・脂質異常性)、

生活習慣的要素(喫煙)などがあります。

認知症は複合的な要因で起こり、お口からの要因としては、

「歯を失って噛めなくなると脳に刺激が行かず、認知症になる」と言われていましたが、

歯周病菌そのものが認知機能を奪っている可能性があるということは知られていませんでした。

 

 

《認知症の対策》

認知症は健康な人が急激に認知機能が悪化してなるわけではなく、

20〜30年前から徐々に脳内に溜まった炎症性物質が原因で、

MCI(軽度認知障害)を経て発症します。

MCIの場合は健康な状態に戻る可能性がありますが、認知症は現在の医療では完治しません。

そのため、炎症性物質を溜めないことが大切です。

歯周病を予防することは認知症を予防することに繋がりますので、

定期的に歯科医院でクリーニングをして歯周病の予防をしていきましょう^^

 

参考文献『nico 2021年4月号』

    『特定非営利活動法人 日本歯周病学会 編 歯周病と全身の健康』

    『認知症疾患診療ガイドライン2017』

 

次回は、歯科治療と感染性心内膜炎についてお話しします!

 

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